金融緩和と金融引き締めによる通貨と株価の関連性(ファンダメンタルズ分析)

金融緩和には3種類ある。

不景気になったら『金融緩和』

前回、利下げ・利上げについて学びましたが、今回は不景気時の対応策「金融緩和」3種類について書いていきます。

おさらい。利下げについて

各銀行は、銀行の銀行である「日銀」にお金を預けることで金利をもらえますが、日銀が「利下げ」を行うともらえる金利が少なくなるので、各銀行は企業にお金を貸し出したほうがより金利を稼げるようになります。企業はお金をたくさん借りれるので、設備投資など充実させることができ、より売上を上げられる機会を得られるので「株高」になります。
そして各銀行が貸し出したお金が世の中に多く出回ることになるので、「通貨安」になります。

量的緩和とは?

中央銀行(日銀)が民間の銀行から国債を買い取ること=買いオペ

利下げを行ってもいまいち効果が得られない…そんな時、中央銀行は「量的緩和」の切り札を使います。これは民間の銀行が持っている国債を買い取り、お金の流通量を増やす方法です。これによって利下げにプラスしてお金の流通量を増やせば、「通貨安」「株高」方向に持っていくことができます。これを「買いオペ」とも呼びます。

マイナス金利とは?

中央銀行に預けることによってマイナスとなる。だったら企業に貸し出そうとなり、通貨安・株高方向に向かう。

普通、預けていれば金利分お金がもらえるはずが、マイナス金利となると「預金料」という形でお金が取られてしまうので民間の銀行は中央銀行にお金を預けなくなります。なので企業にお金を貸し出して利益を得る方法を取らざるをえず、「通貨安」「株高」が進みます。

逆に「金融引き締め」とは?

おさらい。利上げについて

好景気になると景気を抑制する必要が出てくるので、金融引き締めで対応します。まずは「利上げ」です。
各銀行は、銀行の銀行である「日銀」にお金を預けることで金利をもらえますが、日銀が「利上げ」を行うともらえる金利が多くなるので、各銀行はわざわざ企業にお金を貸し出さなくとも、より金利を稼げるようになります。企業はお金をあまり借りられなくなるので、設備投資など充実させることができなくなり、売上を上げられる機会が減り「株安」になります。
そして各銀行が日銀にお金を預けてしまうので世の中に出回るお金が少なくなり、「通貨高」になります。

売りオペとは?

中央銀行である日銀が民間の各銀行に国債を売り、お金を日銀に渡す。そうすることで世の中の通貨を減らし、通貨高・株安に向かわせる。

経済が加熱し過ぎた場合、日銀はブレーキをかけるために「売りオペ」(日銀が国債を売るから売りオペ)を行います。これは民間の銀行に国債を売り、お金の流通量を減らす方法です。これによって利上げにプラスしてお金の流通量を減らせば、「通貨高」「株安」方向に持っていくことができます。これを「売りオペ」と呼びます。

経済サイクルについて

不景気には利下げ、好景気で加熱し過ぎを防ぐには利上げ

経済サイクルが分かると、国の打ち出す金融政策がなんとなく分かります。
不況になったら金利を下げ、とにかく世の中にお金を多くばらまく。好景気になったら金利を上げ、世の中のお金の量を減らす。この基礎を覚えておきましょう。

次回はFOMCやECB理事会、日銀金融政策決定会合について書きます。

▼参考にさせて頂いたYouTube、サイト様

金利の利上げ・利下げが通貨や株式に与える影響の仕組み(ファンダメンタルズ分析)

現在、日本では銀行に預けていても金利はほとんど付かない。

国債とか金利とか言葉は聞いたことあるけど

預けたらお金が増えたりする?くらいのイメージでなんか良く分からないって人は多いと思うので、自分の備忘録としながら分かりやすく説明します。

国債とは?

国債とは「国の借金」です。例えば上の画像で言えば、『日本』が『アメリカ』にお金を貸し、アメリカは『国債』というものを発行します。その後日本は一定期間後に国債を償還し、利子付きでお金を返してもらいます。アメリカはすぐに財源としてお金を使えますし、日本は一定期間後、返ってきた金額+利子でお金が多くなって返ってくるのでラッキー!といった形になります。

前提として日銀と銀行の関係性は

日本銀行は銀行の銀行。銀行が持っているお金を日銀に預けることで利子がもらえます。
例えばM銀行が日銀に100万円預けたとします。もし金利が1%だとしたら、翌年1万円もらえて101万円になります。その1万円を企業に金利10%で貸し出した場合、返ってくる時には1万1000円になります。銀行はこうやって利益を上げていることが前提となります。

不景気到来。もし日銀が「利下げ」すると

分かりやすく不景気から見ていきましょう。日本が不景気になると、日銀は「利下げ」を行います。これは言わば各銀行が日銀にお金を預けても、金利がほぼもらえない形になります。銀行は日銀に預けるメリットがないので、お金を企業に貸し出すようになります。そうすることで企業はより設備投資などにお金が使えるようになって、景気が良く(=会社がうまくいき株高に)なります。そして世の中にたくさんお金が出回るので、通貨の価値が下がり、「通貨安」になります。これを金融緩和といいます。

景気回復からのインフレ。「利上げ」でバブル防ぐ

金融緩和が功を奏し、徐々に景気が良くなり物価が上がってきました。コーラが1本100円で飲めていたのに、気づけば1本1000円になってしまっていました。これに歯止めをかけるため、お金の量を減らさなければいけません。

日銀は「利上げ」を行います。そうすると、今まで各銀行は企業にお金を貸していたのを止め始めます。リスクが少なく、金利も高いとなれば安全にお金を守れる日銀に預けておいたほうが得になります。そうすることで世の中に出回るお金の量が減り、企業は湯水のごとくお金を使えなくなるので「株安」になります。通貨の価値は上がり「通貨高」になります。

次回はそれでも金融緩和がうまく行かなかった場合の「買いオペ」「マイナス金利」、金融引き締め時の「売りオペ」を話します。

▼参考にしたYouTube、サイト様